ハイパースペクトルカメラ
ハイパースペクトルカメラとは
ハイパースペクトルカメラは従来の3原色から構成されるカメラと異なり、より多くの波長(最大150)の画像を取得することで、従来では認識できなかった測定を可能にします。撮像素子の1ピクセルごとの分光スペクトルを取得できることから分光イメージングとも呼ばれます。近年の多様な画像分析の要望により、ハイパースペクトルカメラに対する期待は高くなってきております。
Imecのハイパースペクトルカメラの特徴
従来のハイパースペクトルカメラは複数の光学系を必要としたため、構成が複雑で大型化と高価でした。Imecでは優れた半導体プロセス技術により、CMOS上に直接フィルターを施すことで、回折格子を使用することなくハイパースペクトル画像を取得することが可能なため、従来のハイパースペクトルカメラよりも小型でお求めやすい価格で提供することができ、さらには他社にはない仕様を実現します。また、Cマウントに対応しており、レンズの選択も可能で、顕微鏡などのアプリケーションにも有用です。
Imecの製品群
Imecでは4種類のハイパースペクトルカメラを製造しております。
1. ラインスキャン方式(プッシュブルーム)
測定対象物又はカメラを動かす必要がある従来から存在する典型的な方式です。
2. スナップスキャン方式
カメラ内部にある撮像デバイスを動かすことで、ハイパースペクトル画像を取得できるImec独自の方式です。業界最高峰の6M画素で、取得波長数も150種類で、製品群のうち最高機種の位置付となります。
3. スナップショットモザイク方式
1画素の中に複数(最大32色)のフィルターが施された撮像デバイスを使用した方式です。駆動部分がないため撮影時間が短く、動画の生成も可能です。
4. スナップショットタイル方式
マイクロレンズアレイによって分割された画像ごとにバンドバスフィルターを配置し、各波長ごとの画像を一回で取得します。こちらもスナップショットモザイク方式と同様に動画の生成が可能です。
下記は上記のタイプごとの方式による仕様の比較と適切なアプリケーション例です。
カンタムエレクトロニクスでは、お客様のアプリケーションに応じて最適な方式で提案を致します。
ソフトウェア
Imecのソフトウェアは非常に扱いやすく、瞬時に分類を行うことができます。(図2) 取得されたハイパースペクトル画像上にポインタを合わせるだけで、画面右上にその画素の分光スペクトルを確認することができます。
データ取得手順は下記のようになります。
1. 視野、波長数及び画素数等の初期設定を行う。
2. ホワイトターゲットを用いて照明のスペクトルを取得する。
3. ハイパースペクトルキューブを取得
4. ソフトウェアで分類
4の分類方法は中央のハイパースペクトル画像上で、マウスで範囲を指定するだけで、その箇所と同様の性質を持つ物質を抽出することができます。
また、ハイパースペクトルカメラは1画素ごとの分光スペクトルを取得するため、情報量は膨大なものとなります。例えば画素数1M画素のハイパースペクトルカメラの場合において、1画素の分光情報が1kバイトとすると、1MB x 1kBで合計1Gバイトにもなります。近年の撮像素子の高性能化とPCの処理能力の大きな向上もハイパースペクトルカメラの汎用化に大きく貢献していると言えます。Imecのハイパースペクトルカメラは最高6M画素と、市販されている中で最も高い画素数を誇っております。
下記の表はハイパースペクトルカメラを用いた応用例で、今後も需要の拡大が予想されます。
工業 | 食品 | 医療・薬品 | その他 |
プラスチックの選別 | 鮮度測定 | 錠剤の混入防止 | 絵画の分析 |
車体の塗装検査 | 熟成度測定 | 肌の水分量、かさつきの測定 | 飲酒 |
フイルム、ウェハー等の膜厚測定 | 糖度測定 | 皮膚の疾患計測 | 偽造通貨、証明書の判定 |
噛み込み検査 | ソーティング | 麻薬、血痕の検出 | |
ディスプレイ検査 | 育成モニタリング | 木材の水分含有量測定 | |
不純物混入測定 | |||
農薬の可視化 | |||
油の含有量 |
測定例
ナッツのハイパースペクトル画像と分類
カシューナッツの殻、皮及び身も分類できていることが分かります。
金属のハイパースペクトル画像と分類
鉄錆のハイパースペクトル画像と分類
ピンク色:鉄
青色:濃い錆
黄緑色:薄い錆
チーズのハイパースペクトル画像と分類
タブレットのハイパースペクトル画像